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2026年9月に入り、暗号資産市場でひときわ強いモメンタムを見せているのがNEAR プロトコルです。フィッシュです。チャートを監視していると、数日のうちに40パーセントから80パーセント近い上昇を演じ、取引高ランキングでも上位に急浮上してきました。
はじめに明確にお伝えしておきますが、僕自身は現在NEARの現物トークンを一切保有していません。特定のポジションを持たない中立的な個人投資家として、この急騰劇が短期的な投機マネーのお祭り騒ぎなのか、それとも実需に裏打ちされた構造的変化なのかを冷静にリサーチしてみました。
結論から言えば、今回の動きは単なる噂買いとは一線を画しています。世界最大級の暗号資産先物市場であるHyperliquidと手を組んだ実用的なプライベート取引基盤のローンチ、そして米国のNASDAQ上場企業が巨額のNEARを準備資産として買い集めるという、極めて具体的な材料が重なっています。
FIREを目指す長期投資家として、市場の表層的な熱狂に惑わされず、その裏側にあるプロトコル経済圏とリスクの本質を整理していきます。
目次
突然の急騰劇:いま何が起きているのか
NEARの相場は、2ドル台中盤で長くレンジ推移を続けていましたが、2026年9月中旬に突如として出来高を急増させながら3ドル台後半から4ドル近辺へ駆け上がりました。
この上昇相場の直接的な引き金となったのは、2026年9月17日前後に公開された「非公開型の暗号資産先物取引」のローンチです。
公式サイトであるnear.comを通じて、投資家は50以上の暗号資産銘柄を対象に最大40倍のレバレッジ取引を行えるようになりました。最大の特徴は、デフォルトで取引の詳細が非公開になる点です。誰がどのウォレットから資金を拠出し、どれほどのポジションを建てたのかが、公開されている取引台帳から完全に隠される仕組みが導入されました。
さらに、この非公開取引システムに預け入れられた資産が7,000万ドル(約100億円規模)を突破したことで、あらかじめ設定されていた特別インセンティブプログラムの発動条件を満たしました。3日間にわたって平均価格が3.33ドルを維持すれば追加トークンが付与されるという設計も、市場の買い圧力を強烈に後押ししました。
ソーシャルメディアでの言及数は一気に跳ね上がり、主要アルトコインの中でも主役に躍り出ることになったのです。
NEAR プロトコルの基本構造とトークンの役割
急騰の背景を深掘りする前に、そもそもNEAR プロトコルがどのような思想で設計されているのかをおさらいしておきましょう。
NEARは、高い処理速度と日常的な使いやすさを追求した基盤ブロックチェーンです。独自の分割処理技術を採用しており、アクセスが集中しても手数料が高騰しにくく、高速な決済を維持できます。
最近では特に、異なるブロックチェーンの壁を意識させずに使える仕組みや、自律的に動くAIエージェント向けのインフラに注力しています。
ネイティブトークンである$NEARは、ネットワーク内で以下のような多面的な実用性を持っています。
・ガス代および取引手数料:送金やアプリ利用の手数料支払いに使われます。
・データの保存預託金:ブロックチェーン上にデータを記録する際、一定量のNEARをデポジットとして預けます。
・ステーキングとネットワーク防衛:トークンを預け入れることで、ネットワークの安全性を支えながら報酬を得ます。
・コミュニティ投票:プロトコルの運営方針や技術的なアップグレードへの投票権となります。
・決済手段:エコシステム内の各種サービスで共通の支払い通貨として使われます。
・AIの計算リソース利用権:トークンを預けることで、AIエージェントを動かす計算枠を確保できます。
トークノミクスに関しては、最大発行枚数の上限は定められていません。ただし、以前の年間5パーセントから約2.5パーセントへと新規発行ペースが大幅に引き下げられました。さらに、利用手数料の一部が自動的に焼却(バーン)される仕組みに加え、自動仲介サービスから得られる収益でトークンを市場から買い戻すモデルが導入され、市場に流通する枚数は約13億枚近辺でコントロールされています。

急騰の主因:Hyperliquid連携と非公開パープ取引の衝撃
今回の急騰劇で最も市場の関心を集めているのが、「なぜHyperliquidで取引されるのにNEARが買われるのか」という点です。
難しい技術用語がたくさん飛び交っていますが、専門用語を抜きにして日常の例えで説明すると、これは【優秀な覆面コンシェルジュ】にトレードを頼む仕組みそのものです。
身近な例えで理解する「優秀な覆面コンシェルジュ」の役割
海外の高級ホテルを想像してみてください。
あなたがホテルのラウンジで「手持ちのお金で、世界最大の証券取引所の先物を買っておいてほしい」と頼んだとします。
普通の暗号資産取引では、コンシェルジュはいません。自分で街中の怪しい両替所を探し、何回も手数料を払って現地通貨に換え、何分も待たされた挙句、世界中の人々に見つめられながら自分の実名で取引所に注文を出さなければなりません。誰がいくらのポジションを建てたのか、全員に筒抜けです。
しかし、NEARという「優秀な覆面コンシェルジュ」を通すと、体験は劇的に変わります。
- どんな通貨でも渡すだけでOK:手元にあるビットコインでもイーサリアムでもソラナでも、そのままコンシェルジュに預けます。
- 自動で最適両替してくれる(意図型自動処理):コンシェルジュが裏側で最もレートの良い両替ルートを自動で探し、瞬時に必要な担保に換えてくれます。ユーザーは難しい送金や計算を一切気にする必要がありません。
- 覆面で身元を隠す(機密レイヤー):コンシェルジュはあなたの名前や口座番号を黒塗りにした「覆面」をかぶり、誰の依頼かを完全に隠します。
- 巨大市場で代理約定(Hyperliquid連携):月間2000億ドル以上の取引高を誇る世界最大級の取引所へコンシェルジュが直接注文を出し、最も有利な価格で瞬時に成立させます。
ユーザーは「これ買って」と一度指示を出しただけで、面倒なチェーン間の移動も、自分の資産や取引履歴を世界中に晒される恐怖も、すべてコンシェルジュが肩代わりしてくれます。
従来の取引との決定的な違い
従来のオンチェーン先物取引は、ウォレットのアドレスや保有ポジションが全世界に公開されていました。大口投資家やプロのトレーダーにとって、手の内がすべて晒されることは、市場のハイエナたちに狙われる大きなリスクでした。
「世界一の取引規模を持つHyperliquidの市場」と「NEARの覆面コンシェルジュによる自動両替と身元秘匿」が合体したことで、プライバシーを守りながら快適に取引したい世界中の投資家マネーが一気に流れ込んだわけです。
企業による大量保有:SVRNが5500万枚を買い集めた理由
NEARを取り巻くもうひとつの見逃せない構造変化が、米国の上場企業による大規模な資産保有戦略です。
ビットコインの世界ではMicroStrategy社、日本国内ではメタプラネット社が企業の準備資産として現物を大量購入する戦略で知られていますが、NEARの領域でも同様の動きが本格化しています。
NASDAQに上場しているSVRN社(旧OceanPal社、ティッカーコード:SVRN)は、伝統的な海運事業から完全に撤退し、自社の準備資産をNEAR Protocolに集中させる「暗号資産特化型の保有企業」へと舵を切りました。
同社は完全子会社であるSovereignAIを通じてNEARの取得を進めており、2026年8月下旬の公表時点で既に5,550万枚を超えるNEARトークンを保有しています。これは流通供給量全体の4パーセントを超える規模に相当します。
さらに同社は、長期的にはNEARの総発行量の最大10パーセントを買い集める目標を掲げており、保有資産は機関投資家向けの専門管理機関で安全に保管しながらステーキングによる利回り運用を行っています。
単なる個人の短期投機にとどまらず、上場企業の資本政策として数十億円から百億円規模の現物が市場から吸い上げられている事実は、中長期的な需給バランスを考察する上で極めて重要なファンダメンタルズ要因です。

単なるバブルか持続的成長か:Zcashとの比較から見える現在地
市場では早くも「NEARはZcashのように息の長い上昇トレンドを維持できるのか」という議論が交わされています。
この3つの銘柄がそれぞれ何を目指しているのか、専門用語を使わずに役割を一言で整理すると以下のようになります。
・NEAR(万能コンシェルジュ):どんな通貨でも受け取って自動で両替し、身元を隠して注文を通してくれる便利な窓口。実用的なサービスを使って発生する手数料が価値の源泉です。
・Hyperliquid(超巨大な取引所):世界中から巨額の資金が集まる世界屈指の卸売市場。プロ仕様の圧倒的な約定スピードと板の厚みで、NEARから届いた大量の注文をまとめてさばきます。
・Zcash(デジタルな純金):発行上限が2,100万枚と厳格に決まっており、金(ゴールド)のように希少性を重視した守りの資産。現物ETFを通じて伝統的な大口資金が流れ込んでいます。
Zcashの強みは「純粋な希少性と、現物ETFによる機関投資家の資金流入」です。ビットコインと同じように枚数が増えないルールがあるため、デジタルゴールドとしての資産価値が評価されています。
一方でNEARの強みは「実際にたくさんの人が使い、プロトコルが手数料を稼ぎ出している点」です。
NEARの自動仲介システムは、これまでに累計で数百億ドル相当の取引を処理しており、直近30日間の手数料だけでも約500万〜600万ドル(日本円で約7億〜9億円規模)を稼ぎ出しています。この生み出された収益の一部が、市場からNEARトークンを買い戻す原資として使われています。
つまり、NEARは「期待や雰囲気だけで買われているコイン」ではなく、「実際に売上を立てているビジネスのような裏付け」を持ち始めています。
しかし、個人投資家として冷静に見るべき注意点もあります。
収益が伸びているとはいえ、暗号資産全体の規模や、ネットワークを維持するために新規発行される年率約2.5パーセントのインフレをすべて打ち消すには、まだ取引規模の拡大が必要です。
また、新機能への期待や短期的な価格上昇によって、足元はやや熱狂が行き過ぎている可能性も考慮しなければなりません。お祭りが落ち着いた後も、この便利なコンシェルジュを日常的に使い続ける実需ユーザーが残るかどうかが、真の勝負どころです。
投資家としての視点とリスク管理
冒頭でお話しした通り、僕は現在NEARをポートフォリオに組み入れていません。
仕組み自体は極めて合理的で、使いやすさとプライバシーを融合させた見事なプロダクト展開だと高く評価しています。しかし、短期間で急騰した直後のチャートに飛び乗ることは、FIREを目指す上での基本原則である「資本の保全」に反するからです。
暗号資産市場の歴史を振り返れば、強烈な材料によって吹き上がった銘柄ほど、最初の熱狂が冷めたタイミングで手痛い反落を経験します。
もしNEARの将来性に魅力を感じて投資を検討するのであれば、日々の値動きに一喜一憂するのではなく、以下の本質的な指標を淡々と監視することをおすすめします。
- 意図型自動処理の月間取引高と手数料収入の推移
- 非公開の先物取引における利用ユーザー数と保有ポジションの定着度
- プロトコル収益によるトークン買い戻し額が年率2.5パーセントの新規発行ペースにどれだけ迫っているか
- SVRN社をはじめとする大口保有企業の保有継続状況
表面的な価格ではなく、プロトコルが稼ぎ出すキャッシュフローと需給の歪みを見る。その冷静な目線を持ち続けることこそが、相場の荒波に飲まれずに資産を守り抜く唯一の方法です。
よくある質問(FAQ)
Q: NEARの非公開先物取引は完全に規制当局から隠れるためのものですか?
A: いいえ、違法行為を助長するためのものではありません。主に大口投資家やトレーダーが市場で手の内を晒されることによる不利な約定や、他者からの先回り買い(フロントランニング)を防ぐための商業的プライバシーを目的としています。米国など一部の制限地域からは利用が制限されています。
Q: $NEARトークンに発行上限はありますか?
A: 発行上限はありません。年率約2.5パーセントの割合で新規発行が行われるインフレ型のトークノミクスです。ただし、トランザクション手数料の一部が恒久的に焼却されるほか、意図型取引プロトコルの収益を活用したトークン買い戻しが実施されています。
Q: Hyperliquidで直接取引するのとNEAR経由で取引する違いは何ですか?
A: Hyperliquidで直接取引する場合、保有ポジションやウォレットの活動はすべて公開台帳上で閲覧可能です。一方、NEAR経由で取引した場合は、非公開意図レイヤーの暗号化技術を経由するため、証拠金の拠出元やポジションの所有者が外部から秘匿されます。また、35以上のチェーンから手作業のブリッジなしで直接入金できる点も大きな違いです。
取引所の話、少しだけ
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また、短期的な相場変動に一喜一憂するだけでなく、家族を守るための長期的な資産形成の土台作りも大切です。
僕自身のNISAや資産形成に対する考え方はこちらで詳しく書いています。
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また次回の相場でお会いしましょう。フィッシュでした。🐟